俺様からの贈り物*
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「…どうも作為的なものを感じるんだ。わざとらしい演出が鼻につく」
幸村がわずかに眉を寄せ、腕組みをするとテーブルの山と司会の執事を見比べた。
「そうだよね、主催者である肝心の跡部がいないし…」
七星の姿も見えない…と言いかけた時
「…しっ!…音がする…」
幸村が不二を制するように唇の前に指を1本立てた。
しかし、音と言っても部屋にあふれるクリスマスソングに加え
「残りの贈り物はすべてこれからのビンゴ大会の景品となりまーす!」
思いっきりな執事の声に重なったドラムロールと歓声と拍手にかき消されそうになる。
幸村は分厚いカーテン越しに聞き耳を立てるようにしたが、そっとカーテンにすき間を作ると外を伺った。
「…あ…やっぱり…」
「ヘリだね」
幸村と不二が跡部邸の庭園にまさに着陸しようとするヘリコプターの姿を、曇る窓ガラスを手でぬぐった直後に見た。
「ヘリ…コプター…」
間近でなんて初めて見る。ローターの回転が巻き起こす冷たい風に、羽織ったコートが飛びそうになりながらも七星は目を丸くして見上げた。
「乗り込むから頭を低くしろ」
七星の後ろから跡部が肩と頭を押さえると、抱き寄せるようにしてヘリへと乗り込んだ。
二人を乗せたヘリコプターは瞬く間に上空へ舞い上がる。
「…さすがに、手回しがいいや。ああされちゃうと僕らには太刀打ち出来ない」
「…まったく。逆サンタだ」
地上の二人もバタバタと空を叩く音が遠ざかり、聞こえなくなるまで濡れたガラス越しに見送った。
「君の、2列リーチだよ」
「そう?」
幸村の手にある先ほど渡されたビンゴカードをチラリと見た不二が言った。
興味なさそうに、それでも不二が言う番号を幸村は細い指先で開けていった。
「君はさっき何を選んだの?」
ビンゴの数字が読み上げられるのを聞きながら、不二は幸村に聞いた。
「持って帰るのが面倒だから一番小さいラッピングのにしたんだ」
幸村が宝部屋に入って最初に選んだ物…それは俺様からでも、メンバーからでもない七星が選んだたったひとつの贈り物だった。
ミニカードはつけてあるが、誰に渡るかわからないからメッセージはメリークリスマスのひと言だけ。
まだ開けられず無造作にポケットに入れられたままのプレゼント…でも、多分わかる。
可愛らしいカードをつけるメンバーはまずいないだろうから。