俺様からの贈り物*
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「あ…跡部さん、もう少しゆっくり…」
「と、悪いな」
長い廊下に敷き詰められた厚めの絨毯に、ドレスと揃いの履き慣れない白いパンプスがヒールを取られるようによろめく寸前、七星の身体は軽々と跡部に抱き上げられた。
「あっ…跡部さん!!」
「お前を引っ張って歩くより早いだろ? 最初からこうすりゃよかったぜ」
愉快そうに跡部は笑う。
幸い廊下に人はいないものの恥ずかしさに変わりはない。
跡部が抱きかかえていた七星を下ろしたのは雪の庭先だった。
「寒…」
思わず自分の両腕を抱き寄せる。吐く息が白く風に乗ると淡く広がって消えた。
「そら、これを着てろ」
いつの間にか跡部が手にコートを持ち、七星の肩に羽織らせた。
「わ…」
七星には見たことも触ったこともないような毛皮のコートだ。軽いのに凄く暖かい。
メイドが跡部の分のコートも手にしているのが見えた。そしてよく見れば庭にも人影がいくつも見え、何やら忙しげに動いているのがわかる。
「あの、跡部さん。ここで一体何を…」
「なぁに、ちょっと散歩に連れて行ってやろうと思ってな。そら来た」
「…え…」
跡部が上空を指差すと同時に何かが風をバタバタと叩き、サーチライトが庭を照らした。
「さて皆様、当家のお坊ちゃま景吾様よりの贈り物にはご満足頂けましたでしょうか?」
宝箱部屋の廊下側のテーブル前に、跡部家の執事とおぼしき初老の男性が立つとマイクを持って話し始めた。
その少し前、テーブルのマイクスタンドにスポットライトが当てられると部屋の照明は落ち、カーテンも引かれ雰囲気を盛り上げるためか音楽が流れ始めた。
青学、氷帝、立海のテニス部メンバーはすでに手にしたプレゼントを開け、悲喜こもごもに歓声を上げていたがおおむね満足そうな表情を浮かべている。
ただ、気になるのはメンバーの数を上回るプレゼントの山だ。
スポットライトに音楽が鳴り、メンバーの視線は一斉にマイクを手にした執事へと注目する。
「ところで皆様方の気にされているであろうこの残った贈り物ですが…」
執事の指先が部屋から集められ、テーブル上に積み上げられたプレゼントの山を指した。
「やぁ、つまらないの?」
不二が、一人集団から離れ閉められたカーテン前にひっそりとたたずむ幸村に声をかけた。