俺様からの贈り物*
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「景吾様、ご用でしょうか」
跡部と七星がいる広間に、メイドが扉をノックすると静かに顔を覗かせた。
すでに…と言おうかようやくと言うべきか、何とか身体も暖まり髪も服も乾いた七星がやっと跡部の腕から解放された時に、メイドが来たのだが、跡部は一体いつ呼んだのだろう。ほっとしたのと手早さが謎なのとで、少し妙な顔をしながら七星は暖炉側のソファに座る跡部を窓のカーテンにくっつきながらそっと見た。
「このお嬢さんに用意しておいたドレスを着せてやれ」
しかし、跡部はそんな七星の気持ちなどお構いなしにやって来たメイドに用件を伝えた。
「かしこまりました。ではあちらへどうぞ」
にこやかにメイドが七星に微笑みかけ、廊下側へと揃えた指先を差し示した。
(…え…用意していたドレス…?)
解せない表情で七星は窓のカーテンを握り込み、今度は跡部を直視した。
「着替えた方がいいぜ?少しとは言え濡れたままの髪や服では風邪をひく」
ニヤリと目が笑った。
「……!」
髪なんて…服なんて、とっくに乾いているのに。乾かした張本人は自分なのに。
目が点になって跡部を見つめたまま戻らない七星。
「これからがパーティーの始まりだぜ、お嬢ちゃん」
ニヤニヤと口の端で笑いながら跡部がソファから立ち上がると、流れるように片腕を持ち上げ、高らかに突き上げた指の先からあのパチンといういつもの軽やかな音が弾けた。
その音が響いた直後、薄暗かった庭に一斉に光の花が開いた。
「えーっ」
「うぉー!」
「すげーっ!」
「綺麗だー!」
あちらこちらの部屋から歓声が上がるのが壁越しに伝わる。
七星も窓ガラスに吸い寄せられるようにして外を見た。一斉に灯ったイルミネーションがキラキラと無数に輝く。いつまでも飽きずに眺めていたくなる。
「ゲームは終わりだ。お前は鍵を手に入れた。これから先は俺様のご招待だぜ。わかったら着替えて、連中に宝箱を開けてやれ」
光のファンタジーに見入る七星の隣にいつの間にか立った跡部がそう言うと、七星の腕を取りその手のひらに鍵をひとつ落とした。
「あ…はい、わかりました」
本来の目的を思い出すと七星は鍵を見つめてからギュッとその手に握り込んだ。