俺様からの贈り物*
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「ただ、ひとつ問題がある」
「問題?」
柳の話を聞きながら自分のカップに手を伸ばしかけた乾だが、その中がすでに液体を満たしてはいないことに気づきかすかに苦笑いを浮かべるとカップの代わりに空を掴み、そのまま手を膝元へと引っ込めた。
「ほら、俺達がホールに入る前に交換用に持参したプレゼントをメイドさん達が回収しただろう?」
「ああ」
「あれは跡部があらかじめ用意した物とまったく同じラッピングをされ、誰からの物か判別がつかないようにした上でプレゼント部屋なる部屋にひとまとめにされたそうだ」
「それはつまり…」
乾が意見を差し挟もうと口を開きかけた時、部屋にノックの音が響いた。
「失礼致します。お飲み物とお菓子をお持ち致しました」
新しいティーポットとカップの乗ったテーブルワゴンを押しながら、跡部家のメイドがにこやかに入って来る。
(さすがだな。絶妙なタイミングで来る)
テーブルから空になったカップが下げられ、入れ替わりに置かれた温かな湯気が立ち上ぼる紅茶で満たされたカップを見ながら乾は思った。
「ウス…」
メイドが部屋から立ち去り際に樺地に軽く会釈をして出て行った。扉の開け閉めを手伝ったようだが…。
(そうか…)
自分の喉の渇きに対してあまりにタイミングよく現れたメイドだが、空のカップに手を伸ばしてしまった自分を見て樺地が呼びに行ってくれたのだと乾は察した。
(跡部が傍から離さないわけだ。黙っていても雰囲気を読む。実に有能じゃないか)
紅茶の香りを吸い込みながら、樺地の表に出ない暖かさを乾は感じた。