「どうしたんじゃろ、幸村は…」
たかが参加人数を伝えるだけの電話で考え込む幸村を見て、仁王が隣に立つ柳に話しかけた。

「ありふれた意見ならば、予期せぬ出来事…だな」
腕組みをした柳は幸村をじっと見つめる。

「青学はなぜ全員参加するんだい？」
『そんなの単純明快だぜ。七星が…』
「え…？」

『…っいや…まぁ、何だ』
口が滑った、というあわてぶりが幸村に伝わった。跡部にしてはらしくない。

「そう、わかった。ちょっと立海の人数は保留にさせて。改めて連絡するよ。いや、そんなに待たせはしない。ある点を確認したいだけだからね。じゃ…」

それだけ伝えると、幸村は携帯の終了ボタンを押して椅子から立ち上がった。

「どうした？」
柳が、幸村の一挙手一投足をそのよくわからない眼差しで捉えながら尋ねる。

「ちょっと…ね」
そう言うと幸村は、携帯を手にしたまま部室を出た。

「気を持たせますね。急に何でしょうか」
「…まぁ…幸村が自発的に動くことと言ったら…」
「ある人物絡みしかないな」
柳生の独り言のようなつぶやきに、仁王と柳が答えた。