東京物語*
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「一人一本言うからつい貰って来てしもたけど」
帰宅した忍足は部活用のバッグから缶飲料を取り出し、少しだけ眺めたがすぐに冷蔵庫にしまおうと扉を開けた。
「……なんで同じもんが入っとるん……?」
思わず力が抜ける。
あの三人のうち誰かが入れたのはわかる。それに四天宝寺名物というからには
「絶対まずいに決まっとるやん」
これはもう廃棄以外に道はない。
と、思った時にインターホンが鳴った。
怪しい段ボールが届いた。
「……」
送り主はもちろん、ここに泊めた四天宝寺の連中だ。
恐る恐る開けてみれば、予想を裏切らないロシアンルーレット自販機の敗戦品の山である。
例え四天宝寺の生徒でも嫌な物は嫌だ。そして嫌な物はこっそり処分される……はずが白石たちが集めまくったせいでにわかにロシアンルーレットが流行り、瞬く間にブツは山となった。
『非常用の備蓄品やで~! 感謝してや~』
という謙也の文面に知らず力が入り、つい破り捨ててしまった忍足であった。
『カブトムシありがとう、て部長言うてました』
少し前の夜、七星に財前からメールが届いた。
「押しつける形になってごめんなさい。家では上手く飼育出来ないから、可愛がってくれる人の所がカブトムシも嬉しいと思います」
でも、無事に白石の元に届いたのが何よりだと七星は告げる。
(まあ、無事とは言い難かった場面もありますけど)
遠山に振り回され全身打撲状態のカブトムシを財前は思い出した。
とりあえず地元に戻り、家族に東京土産も渡し、後はひたすら大会メニューをこなすだけの日々だ。
『大阪と東京でちょい距離はありますけど、うちは全国常連ですんで大会は観に来てください』
「全国は必ず応援行きますよ」
そんな七星のメッセージに、もう一度会えるならどこの応援に来てても構わない。
そんな風に考える自分に少しだけ驚く財前だった。
ただちょっとした好奇心だけだった東京行きに、新たな出会いが加わった。
そうもう一度会えるなら……。
fin.