東京物語*
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「財前?」
当の本人である白石も財前を見た。
ここでカブトムシの事を伝えれば、七星とのアドレス交換がバレる。
「ん? そないにこっち見てどないした?」
財前は白石をまじまじと見つめた。
「部長、カブトムシいてませんけど……」
「なんやと!?」
慌てて座席から立ち上がると白石は、自分の両肩を幾度も見直したり、背中に腕を回し「なあ、カブトムシ着いてへんか?」と焦って財前と謙也に確認する。
挙げ句しゃがんで座席の下を覗き込んだり、カーテンを広げて裏表もひっくり返して探した。
もちろん荷物の中も探し、「いてへん……」あきらめたように、ガックリとシートに腰を落とした。
「残念やったな」
「せやな、けど、うっかり潰してへんかっただけでもよかったわ」
謙也の言葉に少しホッとした白石の顔に、ようやく笑顔が戻った。
「どっかで元気に過ごして、友だち作っとったらええな」
とりあえず、アドレス交換の件はスルー出来たようだ。
七星には「カブトムシ飼っといてください」と伝える事にした。
(え、あたしが飼うの?)
何で? と大いに焦る七星。
乾との巻き込まれから始まって、亀、カブトムシに財前とのアドレス交換。
登校するとなぜか災難が起こる、そう思わずにいられない七星だった。
(いや、絶対これ送る!)
さすがにカブトムシの世話までするつもりにはなれない。意を決して大阪四天宝寺中のホームページ検索をした。
(テニス部の白石さん宛で着くよね)
早速虫かごと昆虫用のゼリーを用意して郵便局に向かった。