東京物語*
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「一応お礼は送るべきなんだろうな」
おごってもらったし、と帰宅して改めて財前からのメモを見る七星だが、
「そうは言っても一度連絡したら、向こうからも返事くるし、そこからやり取り始まるのも、ちょっと……」
若干気が重い。
(悪い人ではないだろうけど)
うーん、とあれこれもやもやしながら今日使ったハンカチを洗濯に出そうと、ショルダーバッグを漁ったら……
「なんでいるの?」
カブトムシがちゃっかりハンカチにしがみついていた。
「あれ? 白石さんの肩にずっといたよね?」
ファミレスでも駅でもホームでも確かにいた……?
「ホームはどうだっけ?」
新幹線のホームでの白石がどうしても思い出せない。
「これカブリエル2号で飼うんだっけ? あれ、カブリエラだっけ?」
混乱してきた。
財前に連絡をするべきか。
知らぬ存ぜぬでこのまま外に逃がすか。連絡しないでこのまま四天宝寺へ送ってしまうか。
(あれ、カブトムシって送れるの?)
混乱のまま、七星は母親に聞いた。
「あら、カブトムシくらいなら郵送出来るわよ。鈴虫や金魚も送る人いるし」
へ、へえ、そうなんだ。
また自室に戻り考えた。
(どのみちお礼は言っておかないといけないだろうし)
スマホの電源を入れた。
(あ、幸村さんから来てる)
とりあえず幸村のメールは一読して、新規メールを立ち上げた。
『カブトムシ、そちらに郵送しますか?』
まだ新幹線内にいる財前は七星からのメールにほころんだが、内容に吹き出した。
「なんやの財前」
眠そうな謙也に
「なんでもないっすわ」
と一声かけた。そういえば白石の肩のカブトムシ、いつの間にかいなくなってたな、と思い出していた。