月光小夜曲*
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ところが…玄関前に横付けされた超高級な黒塗りのリムジン、物腰上品な紳士的執事さんの登場で、両親の態度は一変した。
しまいには
「跡部家のご機嫌を取るのよ~」
と言われて送り出される始末。
あぁ…人間って…。
あたしのどんより気分と裏腹に、黒塗りのリムジンは跡部家のお屋敷に滑り込んだ。
通された部屋は、グランドピアノが一台置いてある、サロン…と呼べるような部屋だった。
(俺様サロンかな…)
自分で言って吹き出しそうになった。
「よく来た。こっちだ」
いきなり跡部さんが部屋に入って来ると、スタスタとバルコニーの窓を開けた。
「そら見ろ」
跡部さんが、夜空を指差した。
満月だ…。
「…綺麗」
あたしは、思わず見上げてつぶやいた。
いつも自分の部屋の窓から見るのとは、違う風景に昇る月…。
しばらく満月に見とれていたけど…ふと気づいた。
あたしはバルコニーの手すりに両肘をついて、月を見ている。
…跡部さんは、あたしの真後ろにいて両手を手すりに置いている…。
あたしは跡部さんの両腕の囲いの中に、すっぽりと収まっている格好になっている…。
これ…どういう状況…。
バルコニー…広いんですけど跡部さん。