東京物語*
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「ま、よかよ。来んしゃい」
仁王が三人に向け親指でテニスコートの方向を示した。
「それではあたしはここで失礼しますね」
すかさず仁王と白石たちにお辞儀をして、その場を立ち去ろうとする七星。
「待ちんしゃい」
「待ってください」
右に仁王、左に財前。
「立海に来たら、素通り厳禁じゃろ」
「今日はモーニングかランチ奢る約束ですわ」
「え、と」
残らないとまずい……?
帰るタイミングを外してしまった自分を激しく悔やむが、すでに後の祭りだ。
「お客さん連れて来たナリ」
仁王が三人組と七星を伴いコートに戻れば、練習真っ只中の音がフッと途絶えた。
そりゃそうだ。昨年の全国大会で見覚えのある面子だからだ。
「大阪四天宝寺の白石、忍足、財前だな」
目ざとく立海参謀の柳が声をかけた。
「はい、そうです」
白石も部長として、前に進み出るが
(カブトムシいるよな?)
(飼ってるのでしょうか)
(いや、普通飼ってるなら虫かごに入れてねえ?)
白石本人よりも肩にとまらせたままのカブトムシに注目がいく。
「うちに何か用事かい?」
部長の幸村も柳に並び、三人に視線を走らせたが
「七星さん?」
仁王の後ろにほとんど隠れていたつもりでいた七星も視界に入れた。
「あ、ど、どうも」
やり過ごせるかな、という考えはやっぱり甘かったと渋々作り笑顔で遠慮がちに少しだけ仁王の背中から横へ出た。
「あれー! 七星ちゃん来てたならこっち来なって」
丸井が元気よく言うと、あっという間に七星の手を取りベンチへ連れ去った。