東京物語*
空欄の場合は夢小説設定になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「何してんの」
廊下を見終わり、隣のクラスの机の下を覗き込んでいた時だった。
後ろから掛かる声に
「亀を探しているの」
と、生返事をした。
「……亀……?」
間が空いて、(は? 何それ)という感じのトーンで疑問文が戻る。
「そう、うちの班の男子が自宅で飼ってる亀の水槽をうっかり落として割ったからしばらくクラスの水槽貸してって強引に持って来たはいいんだけど」
餌やりとか夏休みは毎日来られないとか言い出して、結局クラスで飼育観察とか成り行きでなって、と七星が愚痴混じりの文句を言いながら、机の間や棚の後ろを見ながら説明する。
「フーン。ねえ、その亀って大きいの? 小さいの?」
「え?」
七星はようやく自分が誰かと話しているのに気づいたように身体を起こし、声の主に顔を向けた。
「リョーマくん……」
「ここ俺んとこの教室」
机に腰掛けた越前が、面白いものを見るように七星にニヤリとした。
「え、あ……」
室内をキョロキョロし、
「ごめんなさい、休み中だし誰もいないと思って」
いささか焦り気味に言った。
「別にいいんじゃない?」
気にしないし、と七星に近づいた越前は亀の種類を聞いた。
「ミドリガメって言ってた。五センチくらいかな」
水槽にいた亀を思い出しながら七星は親指と人差し指で亀の大きさを越前に伝えた。