東京物語*
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「飼育当番……」
腑に落ちない呟きに残念そうな眼差しで、すでに視界にはいない七星の背中をいつまでも見送る手塚に財前は(なんやありますな)と興味を覚えたようだ。
飼育当番とは、夏休み直前に突発的に起こった七星と同じ班の男子の問題だった。
(何で自宅で飼ってる亀を学校に持って来るかな~)
教室の扉を七星はため息と一緒に開けた。
誰もいない教室は閉めきられたままで、朝とはいえ室温は上がって来ている。
「扉や窓は開けっぱなしでも用務員さんが最終の見回りで閉めてくれるって話だから……」
そう言いつつ七星は窓を全て開け放った。気持ちのいい風が入り、教室の空気も入れ替わったようだ。
「さて、亀さんの餌と水も替えたほうが……」
亀の入った水槽に目をやった七星の動きが止まった。
「いないんですけど?」
慌てて水槽に駆け寄り中を何度も確認した。
「いない……」
水槽を置いた机の下、教卓の下、教室中をそれこそ這いつくばって探した。
「どこ……?」
もう一度隅々を探したが、何もいない。
「か、亀って時速何キロなの……」
昨日の段階で水槽から脱走して扉が開いてる教室から出たとしたら、今はどこにいるか見当もつかない。
「どうしよう……」
とにかく探そうと七星は教室を出た。まず廊下を一気に確認して、それから隣のクラスから順番に見て回ろうと考えた。