東京物語*
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「聞いて来ました」
謙也との試合を終わらせ汗を拭う跡部に鳳が駆け寄る。
「元々青学との練習試合の書類を榊先生宛に届けに来たついでの見学だそうですよ」
鳳は乾の言葉をそのまま届けたのだろう。屈託のない笑顔で、白石とのワンゲーム試合のコートへ向かった。
「フン」
タオルをベンチに置くと跡部は乾へ足を向けた。
「よお」
自分に向けてゆるく片手を上げ近づいて来る跡部に乾も応える。
「ああ、お邪魔させてもらっているよ、跡部」
存分に観ていけと榊からも言われているので乾も遠慮はしない。
「お前一人か? もう一人来てたろ?」
辺りを探るように跡部は視線を素早く巡らせた。
「ああ、いたね。二人で一緒に来ていたが、とっくの昔に帰ったよ」
今頃はもう自宅に着いたろうと、乾は七星の帰宅コースを思いながらなに食わぬ顔で跡部に告げた。
何だか怪しい。
根拠も理由もないが、乾は怪しい。
とにかく怪しい。
跡部は己れの勘で
「……お嬢ちゃんだな、一緒にいたのは」
一瞬だけ捉えた乾との落差のあるシルエットに、跡部は睨むようにそう言った。
「正解。七星ちゃんだよ」
もうここにいない、との余裕から乾もニンマリと笑う。
「残念、だったかな?」
嫌がらせの一言も追加するのは忘れない。
「フン、あいつとはいつでも会えるさ」
乾の言うように残念と思う気持ちも確かに湧いたが、そんな想いは悟らせず乾に踵を返しコートへ戻った。
そう、いつでも会える。
あいつとは、な。
いつの間にか跡部の心は七星をいつ誘うかというプランでいっぱいになっていた。