東京物語*
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七星は先に帰ったが、乾は残って練習試合を観戦していく事にした。
「偶然とはいえ四天宝寺が氷帝に来ている場面に出くわすなんて、今日はついている」
眼鏡のフレームを暑い日差しに光らせながら乾はご満悦だ。
「青学の乾が視察に来ているだと?」
話を聞いた跡部は眉をひそめてフェンスの向こうに堂々と見えるその人物を眼中に入れた。
「目的は何か聞いてこい」
その時跡部の一番近くにいた鳳に命を下し、すぐさま試合に戻った。
貴重な強豪他校との試合だ。乾ごときに気を散らすわけにはいかない、と跡部は思った。が、青学の視察、偵察なら日常茶飯事でいつもの跡部ならば気にも止めないのも事実だ。
(確かもう一人いたと思ったが……)
乾の姿をサッと視界の端で確認すると
(もう一人の影が、確かに来た時にあったはずだ……)
サーブを打ち上げ、相手コートの謙也が球をラケット面で受け返すモーションを捉えながら跡部は考えていた。
その影は乾の陰に文字通り隠れていた。だが、今相手をしている謙也に右隣で試合中の財前も、自分が対戦している間に幾度か休憩を装い、乾がいる方向へ動いていた。
四天宝寺メンバーと青学メンバーで個人的な知り合いがいるとの情報は聞いていない。
では、なぜあの二人、特に財前は乾と話をしていたのか。
気になる。
跡部は急ぐ心と比例して、試合のピッチを上げた。