東京物語*
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(なんや?)
七星が一瞬で警戒色を強めた事に財前は驚いた。
「……もしかして、この氷帝の忍足さんて……」
「ん? 侑士のことやったら従兄弟やで」
疑心暗鬼の七星に、にこやかに答える謙也。
「それでは失礼します」
「は?」
ぺこりとお辞儀をして、さっと立ち去る七星に財前と謙也もすぐには反応出来なかった。
「どないしたん?」
慌てて財前が隣に並んだが、
「忍足さんに用事はないので、すみませんが失礼します」
素っ気ない応えが反る。
「え、俺振られたん?」
自分を指差し、初対面の子にいきなり振られたショックを隠せない。
「いえ、氷帝の忍足さんです。あまりお会いしたくないので、あたしがここに居たことも内緒にしていただけると助かります」
そう言うと、七星はもう一度お辞儀をした。
「あ、ですが、従兄弟の忍足さんは素晴らしいスピードで、思わず見とれました。これからもその脚で駆け続けてください」
ぎこちなく微笑んだ七星は、今度は振り返ることなく正門から姿を消した。
「……侑士のやつ何したん?」
「さあ、締めるんは簡単ですけど、それやるとあの子の希望を台無しにしてまうんやないですか?」
「……せやな」
人影のない正門を見つめながら、白石が呼びに来るまで二人はただ立っていた。