東京物語*
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「これです」
乾は音楽担当の教諭から預かったというか、押しつけられた厚みのある封筒を榊へと渡した。
「ああ、これか」
軽く中身の確認をした榊は、なんだという素振りで呟いた。
「わざわざご苦労だったね」
封筒を教卓の上に置くと、
「で、本来の用件は何かね?」
榊は乾を見てそう言った。
「本件はこちらです」
そもそもの用事はこれである。
青学顧問竜崎スミレからの茶封筒を、乾は改めて榊の前に差し出した。
「ふむ」
取り出した書類に目を走らせると、考え込むように榊の指先が顎で止まる。
「君、確か先日の練習試合で来ていたね」
七星をじっと見ると思い出したように榊は言った。
「あ、はい」
晴天を突如割った雷と集中豪雨。
中断された試合。
榊に言われ、七星もあの日が思い出される。
「そうか、なるほど。テニス部と行動を共にするということは、やはりマネージャーをしているのかね?」
「マネ……? いえ、全然。テニスもしていませんし、たまたま付き添いにされただけです」
たまたまと付き添いを力説する七星に乾も苦笑いを隠せない。
「ふむ。そうか、まあいい。今ちょうど四天宝寺が来ている。よければ観ていきなさい」
立ち上がりながら榊は、乾ではなく七星に向けて言った。
「いえ、乾先輩は時間ありますが、あたしはこれで失礼します」
七星もさっと椅子から立ち上がると榊に礼をし
「乾先輩、ここへご一緒するまでのお話でしたので、先に失礼させて頂きますね」