東京物語*
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という、いささか理不尽な理由で七星は乾により、半ば強制的に天敵とも思える氷帝に連れて来られた。
「ああ、丁度榊監督もコートにいるようだね。……おや?」
打ち合うボールの音と歓声が徐々に近づくにつれ、乾の気を引くものが視界に入った。
「あれは……」
「何ですか?」
手前のコートでは今まさに、西の忍足対東の忍足、従兄弟同士の白熱の打ち合いが行われていた。
「甘いで侑士、どないなコースに打ち込んだかて浪速のスピードスターには余裕で追いつくっちゅーねん!」
高らかに笑いながら、謙也が侑士のコートにボールを叩き込んだ。
「甘いのはそっちや!」
言うなり、勢いよく弾んだボールに回転を加え叩き返す侑士。
その隣のコートでは白石と跡部が、そしてまたその隣では財前と日吉がそれぞれ対戦している。
「ふうん、まさか四天宝寺が練習試合に来ているとはね。実に興味深い」
乾はノートを取り出すと、素早く何かを書き始めた。
「うん?」
ふと、乾の手が止まる。
(七星ちゃん?)
いつも氷帝に来ると、なるべく人目につかないように、小柄な身体をさらに縮め込むようにして辺りを窺っている。
その七星が身を乗り出し、食い入るようにコートを見ている。
(誰を……?)
乾は七星の視線をたどる。すぐに手前のコートを所狭しと駆け回るスピードスターに行き当たった。
(忍足?)