東京物語*
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「先生」
「ほんと、ちょうどよかったわ。これから郵便局へ行かなきゃって思っていたところだったの」
賑やかな女性の登場に七星は首を傾げた。
しかし、乾が先生と呼んだのだから、おそらく二年か三年の担当教諭なのだろうと簡単に推測出来た。
「あの」
「あ、これを氷帝の榊先生に渡してほしいのよ。氷帝って音楽ライブラリーが充実してるじゃない? だから同じ音楽を志す者として交遊を深め合ってるのよね~」
「つまり」
「そうなの、譜面やCDを色々お借りしたけど、なかなか返す機会に恵まれなかったのよね。じゃ、そういうわけでよろしくね」
言うだけ言うと、音楽教師と思われるその人は、ハミングをしながら身軽に校舎に戻って行った。
「……楽しい先生ですね」
「見方を変えればな」
受け取った封筒をいささか困惑気味に見つめる乾はため息をついた。
「では乾先輩、お気をつけて」
校門でバス停に向かう先輩にお辞儀をしてから我が家に向かおうと、先輩とは反対方向へ一歩踏み出した時だ。
「ひどいな、七星ちゃん。俺を見捨てるのかい?」
「は?」
「ここまで事の成り行きを見守っておきながら、俺一人で氷帝へ行かせるなんてまったくもって罪深いじゃないか」
「ええ?」