東京物語*
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「へぇ…光に歴史探訪の趣味があるとは意外やったわ」
財前の様子を見て、驚いたように白石が言葉を告げる。
「ちゃいますよ、祖母ですわ。祖母に東京駅のホテルの写真撮って来いや言われましてん」
「ホテル? 」
また二人は声をハモらせて、今度は財前を見た。
「この赤れんがの駅舎の半分は、1915年11月2日開業の名門クラシックホテルですわ」
「…なしてそないに詳しいん? 」
何やら腑に落ちない表情をすると、忍足謙也は財前を怪しみ出した。そんなに詳しいのはおかしい…と、思ったようだ。
「開業日が曽祖母の誕生日と一緒なだけですって。何ですか、曽祖母の自慢話なもんやから、耳タコなんですわ」
ふぅ…と長年聞かせられ続けてあきらめたのか、ため息をひとつつくと財前は、感動の薄い眼差しで赤れんがを見上げた。