氷帝ヒロインといつもの青学ヒロインが登場します。
シンデレラは眠れない*
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「…多分ね、違うと思う。上手くは言えないけど、仮に彼女があたしだとしても、あの二人はあたしにはあの笑顔はしてくれないと思う」
あの子だから、草花に近いあなただから…。
「…俺も先輩だから、楓先輩だからいいんですよ。他の人じゃだめなんです」
鳳くんが、はにかむように言ってくれた。
「…あ…」
「何ですか?」
鳳くんの穏やかな瞳は、あの子を見つめる泣きボクロと同じだ…。
身体の中がじわっと暖かくなった。包み込まれるように、安心感が広がった。
「あたし、いい選択をしたと思う」
泣きボクロと伊達眼鏡、二人をとことん追って、医学部や秘書に進むのもよかったけど、どの分岐点へ行ったとしてもあたしはきっと迷い続ける。
どちらかを選ばなくてはならない時が来ても、きっとあたしは迷って迷って答えを出せず、自分一人になってしまう…。
今、同じ目の高さに鳳くんがいる。追いかけてばかりだったあたしに、鳳くんは立ち止まって振り向いて、一緒に並んで歩いてくれる。
これって、幸せなことなのかも。あたしはそう思った。
「ねぇ、鳳くん」
「何ですか、先輩」
鳳くんとまともに視線がぶつかった。まっすぐな眼差しで見るんだね。
「あたしを見つけてくれてありがとう」
「え…」
ちょっとだけ驚いた顔をしたけど、すぐに鳳くんの笑顔が広がった。
この先に何があるかはわからない。まだまだ中途半端な、子供以上大人未満なあたしの年代。
だけど、きっとこれからもあたしはあの二人を追いかける。
永遠の憧れだから。
ありがとう、伊達眼鏡に泣きボクロ。
そして、これからもよろしく。
fin.