月光小夜曲*
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「…七星ちゃんを氷帝が欲しがる理由ってさ…やっぱあれかな?」
着替え終わった菊丸が、ロッカーの扉を閉めながらつぶやくように言った。
『解散』の号令がかかっても、レギュラーだけは、まだ全員部室に残っていた。
「…多分ね。体育祭のあの離れ技に…例の『ツイストサーブ』とても初めてテニスをする人に出せるものじゃないしね」
皆よりは後から七星の活躍を見た不二も同意して、ロッカーの扉を閉めた。
「おまけに彼女が、見た通りに技を繰り出せる『樺地クラス』の腕がある…とわかれば…」
乾の言葉に
「…離さねぇだろうな」
珍しく海堂が続けた。
「…加えて『データテニス』…」
「え?」
ロッカーに寄りかかり、腕組みをして足元に視線を落とす不二に、全員の視線が集まった。
「データテニス…?彼女がか?」
乾が不二に近づいて、聞いた。
「ああ、夏の合宿で確かめた。彼女は『次の一手』と言って、碁や将棋と同じ感覚で相手が次にコートのどこに打つか、予測出来るんだ」
「…………」
部室はしん…と静まりかえった。
「そして、計算しつくして相手を見抜く彼女の頭の中に、僕ら青学以外に『立海大』と『氷帝』のデータが入っている…」
床から天井に視線を移した不二の瞳は何を見つめているのか…。
「もし…彼女にフルマラソン出来る体力があったなら…」
「…間違いなく…」
「世界のトップに立てる…」
誰ともなくつぶやいた言葉がつながった…。