帝王の庭*
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「忍足先輩…」
邪魔に入った忍足を、不満気に見る日吉。
(お邪魔は、自分の方やで日吉)
忍足は忍足で、軽く牽制(けんせい)する視線を日吉に投げかけた。
「…!」
日吉も察したらしく、本格的に忍足を睨む。
「ウス」
「あ…? ああ出番か。ほな、七星ちゃん。俺の勇姿よく見たってや。侑士の勇姿やで~」
駄ジャレを飛ばすと忍足さんは、走って行った。
(今のうちに…)
と思い立ち上がったら、
「ウス」
引き戻された。
「樺地…」
日吉さんが、あたしを樺地さんから引き離そうとする前に急いで言った。
「あの、あたしここで見てますから…日吉さん」
(日吉さんに恩を着せたら、どうなるかわかんないから…少し様子見しないと)
ここにいる…というのが効いたみたいで 日吉さんは少し安心したように微笑むと
「じゃ、次俺も出るから見ていて」
そう言うと軽く手を振り、入場門へ向かって行った。
(ふぅ…)
あたしは大きくため息をついた。
(氷帝の人って、何でこうしつこいのかな…)
「どうした?お前は元気な割に体力がないな。そら飲めよ」
あたしの顔の前に冷たいペットボトルが差し出された。
「あ、すみません! どうもありがとうございます! 」
あたしはあわてて差し出してくれた人…跡部さんにお礼を言った。
「何、来賓用のだ。遠慮はいらねぇ」
跡部さんはあたしの隣に座りながら、顎でテントの一画に置いてある大型のクーラーボックスを差した。
「樺地、次はお前の種目だろ。行って来い」
「ウス」
跡部さんと入れ替わるように樺地さんが椅子から立ち上がると、その大きな身体を入場門へ向けた。
あたしも何となく、さっき手渡されたプログラムに視線を落とした。
二年男子の種目だ…。ぼんやりと、文字だけを目に映した。
ボトルのお茶を半分ほど飲んだ頃…
「ウス」
樺地さんが戻った。けど、どっちが勝ったかなんて知らない。
「じゃな、飲み物は好きなだけ飲んで構わねぇからな」
樺地さんが戻ると、跡部さんが立ち上がって行ってしまった。
(順番で見張りに来てるんだ…)
そう思うと、心底ガックリした気分。
しかも
「見てくれた? 」
日吉さんまでもが、また戻って来たのだ。