乾汁の効用~密やかな午後~
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「手塚と跡部なら、それほど変わらないだろう?」
大石は、見た目に大差ない二人を目で追いながら乾に聞いた。
「身長で4センチ、体重で4キロ違う」
「…変わるものなのか?」
大石には具体的にわからず、やや戸惑うように乾を見た。
「不二と忍足では11センチと11キロもの違いがあったから、如実に本人達にもわかることだったが、例え4キロでもいきなりの変動は感覚的にくるはずだ」
コートの二人から視線を外さず乾は言った。
「そうなのか…」
つぶやくように言うと、大石は考えるように腕組みをした。
「ダイエットで4キロ落ちるのはかなりだし、身長で4センチ伸びるのはパンプスを履くようなものだ」
「パ…パンプス?」
その言葉に驚いた大石の目が丸くなって、思わず乾を凝視した。
「一度お母さんのパンプスでも履いてみたらどうだ? よくわかるぞ」
「いや、俺は…っ」
大石は、頭を勢いよく左右に振ると一歩乾から離れた。
(お前は履いたことがあるのか、乾…)
ちょっとだけ視線をそらし乾を見ないようにした。
《0―15》
接近戦だ。打っては打ち返され、取っては取り返される。
「どう応援したらいいのかな」
コートを右に左に移動するボールを見つめながら、不二が言った。
「潰れるまで打ち合うたらええねん。そうせぇへんと戻れへんのとちゃうやろか」
忍足は自分の体験を思い返しそう言った。
「確かにね。そんな感じだった」
不二もそう感じていたようだ。
「でも、面白かったよ、僕はね」
つけ足すように言うと、不二がいつもの笑顔で笑った。