乾汁の効用~密やかな午後~
空欄の場合は夢小説設定になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「不二、試合の終盤はどんなだった?」
「え…今のやつ?」
不意に乾に聞かれ、やや戸惑ったような表情を浮かべたが、
「そうだね…後半は長引いてきたせいか、ちょっとぼうっとしながらボールを追っていた気がする」
試合の流れをひとつひとつ思い出すように不二は答えた。
「忍足は?」
「あ…せやな…。疲れと発汗が酷なった時があったな。何や、こう…ぐわっと中からあふれ出るような、冷や汗とはちゃうんやけど、それがだっと流れ出てしもたら、ふっと楽になった気がしたわ」
忍足もまた不二に並び、考え込むように試合中に感じたことを口にした。
「ふむ。なるほどな、わかったよ」
うんうんとうなずき、乾はまたページに記入しながら満足する結果を得たように、逆光眼鏡のレンズの端を光らせた。
「…で、何がわかったんだ?」
乾の次の言葉を待ちわびる部員達の中から、手塚な跡部がまず切り出した。当事者なのだから一番に気になることだ。
「解決策だよ。ちゃんと元に戻るね」
自信ありげに乾は言った。
「本当か…?」
「ああ」
「それが試合に結びつくのか?」
「勿論だ」
跡部な手塚と、手塚な跡部が交互に聞いてくる。
「…なら、試合するまでだ。手塚、ラケットを貸せ」
見た目手塚な跡部が、跡部に見える手塚に片手を差し出した。