月光小夜曲*
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「まさか…忍足さんと…?」
「そ、連携プレーだぜ。侑士とはダブルス組んでるからさ。…それとも日吉が来た方がよかった?」
「!!」
あたしは思いきり首を左右に振った。
「ホントに日吉を嫌がるんだ。面白れー」
はは…と向日さんはおかしそうに笑うと、もう一度
「わかったら乗れよ」
と言った。
普通なら、走って逃げるけど…向日さんなら、多分あたしが自滅するまで追い掛けて、強引に連れていく…。
あたしに対する作戦を、跡部さんから伝授されてるような気がする…。
「わかりました…」
あたしは、覚悟を決めて…素晴らしく立派な…ボンネットにフライングレディーのマークついた高級車…雑誌でしか見たことのなかったロールスロイスに乗り込んだ。
《目標捕獲》
ほどなくして忍足の携帯にダブルスパートナーの向日から、暗号めいた短文が届いた。その画面をチラリ…と見た忍足は、
「あ~、もう姫さんがおらんやったらしゃあないわ。わっかりましたよ。今日はおとなしゅう帰りまひょか~」
わざとらしく、間延びしたセリフを吐きながら
《了解。直ちに引き揚げ開始》
と返信すると携帯を閉じた。
「高寺は…?」
忍足が、あっさり帰った後、改めて手塚は大石に聞いた。
「ちゃんと帰ったよ」
部室の片づけをしながら、大石は手塚を安心させるように答えた。
「そうか…。明日から、早目に帰した方がいいかもしれないな」
安堵はしたものの、理由(わけ)のわからない不安が手塚の心に染みのように広がっていった…。