乾汁の効用~密やかな午後~
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「戻ったんか…?」
ゆっくりと立ち上がると忍足は、自分の手のひらを広げたり閉じたりして感触を確認した。
「みたいだね」
不二もまた同じように立ち上がると、辺りを見回した。見慣れた青学のコートから見た風景は、いつもの自分の目線の高さにあった。
「よし、二人ともありがとう。かなり面白いデータを取らせて貰ったよ」
「そらお疲れさんやったな」
ねぎらいの言葉をかける乾に、若干の皮肉混じりに忍足が笑いかけた。
「さてと、次は手塚と跡部だな」
「何…?」
新たなページを開いた乾は、手塚な跡部と跡部な手塚が並ぶ先にペンのキャップを向けた。
「え…」
「まさか、手塚部長も…」
越前や桃城達が驚いたように並ぶ二人を見た。
(つか、いつの間に跡部が来とるん)
(さっきの電話でわざわざ来たってわけだ。まぁ、普通に考えたら謎だらけだし、様子を探りに来ても不思議はないよね)
いぶかしがる忍足に、ようやく自分の笑顔を浮かべる不二。
「でも、次はってことは、君達も乾汁を飲んじゃったの?」
不二の微笑みは、いつもより幾分楽しげに見えた。
「…そうだ」
跡部な手塚が答えたが、仏頂面に加え、あの苦々しげな乾汁の味が再び口に広がったように思えた。