乾汁の効用~密やかな午後~
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「タイブレークにするべきか…」
跡部な手塚がつぶやいた。
「いや、ケリはじきつくだろうよ」
手塚な跡部がそれを受けた。
「……」
インサイトなのだろうか、と手塚は思った。しかし、それは自分の身体である。自分の目でも跡部が使えばインサイトは実行出来るのか。
では元々の跡部の目ではどうだろう。
(よく見える…)
いや、そうではない。だが、自分の矯正視力より跡部の裸眼の方がよく見える気がする、と手塚は思った。
「視力はいくつだ?」
「俺様か? それなら2.0だ」
「そうか…」
手塚の指先がやはり目元へと無意識に伸びるが、そこにいつものフレームの感触がないとわかると、内心で苦笑いを浮かべる。
「く…」
《デュース》
「そらっ」
《アドバンテージ》
「何のっ」
《デュース》
どれくらい打ち合ったろうか。
「つっ…」
《アドバンテージ》
「…う…」
《デュース》
二人がほとんど同時にコートにへたり込んだ。
ボールが転がり、ラケットも手のひらの下で汗ばむ。
「…やるやん、不二」
「そっちこそ、忍足」
互いに褒めたたえ、思わず笑い出して荒い息遣いなまま顔を上げると
「あれ…」
「不二やん」
そこには自分ではなく、いつものライバルの顔があった。