乾汁の効用~密やかな午後~
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「ああ、俺様だ。悪いな」
ほんのわずかに唇の端を持ち上げると、手塚な跡部は大石に笑った。
(手塚が笑った! い、いや跡部か、跡部なのか? 本当なのか?)
戸惑いを隠せないまま、泳いだ目で大石は必死にその視界に乾を探した。
(乾っ!)
視線の先で乾は、大石に気がつくとノートを取りつつもぐっと親指を立て、大石の期待に応えてくれた。が、大石にしてみればそれは新たなる絶望の始まりでもあった。
(どうするんだよ! 不二と忍足でさえどうなるかわからないのに、手塚と跡部だって?)
どうしたらいいんだと、大石は今までは興奮して観戦していた不二と忍足戦から目を離すと、胃と頭を押さえよろけるようにその場からベンチへともつれる足を運んだ。
《アドバンテージ》
接戦に次ぐ接戦だ。
手の内を探りながらの開始から、お互いの技量のぶつけ合いに変わり、体力戦へともつれ込んでいる。
「ふふ、どう僕の身体。もう馴染んだ?」
自分の身体である忍足が繰り出すカウンターに、さらにカウンターで返す忍足な不二。ユニフォームと違いワイシャツは汗でピッタリと身体に張りつくが、そんなことすら心地よく感じられた。
「ええで。身体が軽いんはめっちゃ楽や」
楽しげにボールに追いつき打ち返す。
《デュース》
決着はいつまでもつきそうにない。