乾汁の効用~密やかな午後~
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《デュース》
審判の声がコートに響く。
その声は、物珍しげに手塚の眼鏡をかけたり外したりしながら辺りを見渡す跡部の耳にも入った。
「あれか…」
ぐっと表情を引き締めると、手塚な跡部はすたすたと忍足と不二が打ち合うコートへ足を向けた。
「あ、手塚。凄いよこの試合。どちらも互角なんだけど、不二が忍足なせいか、いつもより体力的に余裕が感じられるんだ。見ていて実に面白い」
大石が沸き立つ興奮を抑えるように話す。
「フン…」
手塚な跡部は大石の話と、先ほどの奇妙な電話から、忍足も不二と入れ替わっていることに内心バカらしいと思いながらも納得がいった。
「…すまないな、跡部」
「あぁん?」
腕を組みコート脇から観戦を始めた手塚な跡部に並び、跡部な手塚が言った。
「うちの部員の不手際で、お前の所の部員はおろかお前にまで迷惑が及んでしまった」
「…ああ、まぁ、なっちまったもんはぐだぐだ言っても始まらねぇ」
チラリと跡部な手塚に視線を投げただけで、すぐにコートへと戻した。
「…え、まさか…跡部…なのか?」
自分の横にいる見た目手塚な跡部を指差し、大石は後から来た跡部な手塚との間で盛んに目をキョロつかせた。