乾汁の効用~密やかな午後~
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「わかったんかな…?」
「説明はしたよ?」
携帯を閉じると忍足な不二は、いささか不安気な不二な忍足の手にそれを戻した。
「それから、僕はそんな顔しないから」
自信なげな自分の顔を一瞥(いちべつ)して言った。
「あ、ああ…」
不二の言葉にまた眼鏡のフレームを押し上げようと目元に手をやってしまい、苦笑いが浮かぶ。
(アカンな。かけてへんのについ手がいってまう…)
「それじゃ、始めよう。ワンセットマッチでいいかい?」
「いいよ」
「かまへんで」
ネットを挟んで不二と忍足が同時に答えた。
まず、不二な忍足がファーストサーブを打とうとボールをコートで弾ませ、忍足な不二である自分の姿をネットの向こうに見た。
(…めっちゃ奇妙やわ。制服でコートに立つ姿もあれやけど…動く俺を生で見られるとは…双子ってこないな気分なんやろか…)
かなり複雑で戸惑う感情が微妙に織り成す中、忍足は空中へ放ったボールを自分の姿へ向けて叩き込んだ。
「……やっぱ不二先輩とは違うっすね」
叩き込まれて跳ね返るボールを目で追いながら越前がつぶやく。