月光小夜曲*
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「じゃ、気をつけて」
大石先輩は、あたしに言うと急いでテニスコートへ取って返した。
大石先輩の背中にお辞儀をすると、あたしは裏門から外へ出た。
「…彼女ならもう帰った。あきらめるんだな」
「あら!ひどいわぁ~。知ってて帰してしもたんやね~」
頬に両手を添え、大きく身をよじり左右に身体を振る忍足の姿はひどく滑稽だった。
「…ともかく、うちは高寺を氷帝に渡す気などない」
「…まぁ、最初からすんなり渡して貰えるなんて、思ってへんけどな…」
そんな忍足の姿にさえ、まったく表情を崩さない手塚に、忍足は滑稽なポーズをやめニヤリと口の片側だけ持ち上げた。
「こっちだぜ」
「え?…」
裏門から出たとたん、声をかけられて横を見ると、素晴らしく立派な車の横に、氷帝の制服を着た男子生徒が立っていた。
「…向日さん…?」
サラサラの髪を切り揃えた小柄なその人を、あたしは氷帝の体育祭で見ている。
「覚えてた?なら、話は早いぜ。乗って」
向日さんは、後部座席のドアを開けると、
「そら、行くぜ。急げよ」
と、少しイラつくようにあたしに言った。
「…え?」
「連絡来てるだろ?跡部から、氷帝へ来いって」
向日さんは、ドアに肘をかけると、あたしに言った。
「早くしろって。けど、文句なら、直接跡部に言えよな?俺と侑士は迎えに来ただけなんだしさ」