乾汁の効用~密やかな午後~
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不二が自分のラケットバッグの中から予備のラケット取り出し、忍足に渡す姿を見つめながら、乾は解説を手塚に続けた。
「もはや自分と互角に戦える相手はいない。自分を打ち負かしてくれる相手はいない…そう思った時、頂点に立った自分と戦えるとしたらどうだ? 」
「…………」
「俺なら迷わず選ぶね。自分が持つ、百戦錬磨のデータから予測不可能なデータに切り替わる。最高じゃないか。鳥肌が立つよ」
手塚は何も答えなかった。ただ、組んでいた腕をわずかにゆるめると、右の掌で左肘をぎゅっと握り込んだ。
「それに今回の乾汁は、まだ結果が出ていないから、いつ効力が切れるかわからない。だから急ぐんだ」
「忍足の野郎は青学に行ったきり戻って来ねぇじゃねぇか。一体あいつは何してやがるんだ? 」
氷帝テニス部部長の跡部は、書類を持たせた忍足がいつまでも連絡すらよこさずに帰って来ないので、業を煮やしていた。
青学には七星がいる。
(まさかあの野郎、ナンパしてんじゃねぇだろうな…)
七星のことを考えるとイラつきにさらに拍車がかかる。忍足になぞ行かせないで自分で行けばよかった。