乾汁の効用~密やかな午後~
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「勝手な試合は許可出来ん」
手塚が、手際よくコート準備を進める乾に近寄りざま言った。
「それは重々承知だ。ただ…」
周りをはばかるかのように乾が素早く注意を走らせると、小声で手塚に囁いた。
『ちょっと…乾汁が効き過ぎてしまったんだ』
『何…? 』
『不二と忍足が入れ替わってしまった』
『…まさか…』
ありえない…と続けるつもりが当の二人と七星がコートに到着した。
「さて、ちゃっちゃとやってしまおう。あ、手塚ゴメンね。わけありで試合させてもらうよ」
そう言いながら、にこにこといつもの笑顔で手塚に近づいて来たのは忍足だった。
「…………不二……か? 」
冷静が売りな手塚も、標準語な忍足に不二な笑顔、というそのアンバランスさに思わず二度三度と目をしばたく。
「バレバレやんな。なんぼ俺に標準語喋れ言うたかて、自分が関西弁よう話せへんかったら台無しやん」
「…………」
「大体やな、関西弁てのは伝染力強いんやで?間近で聞いとったら知らん間に移っとるもんやけどな」
忍足に続いて現われた関西弁の不二に手塚も詰まる。
「生憎と僕の標準語は強固に出来ているんでね、ちょっとやそっとじゃ君の影響は受けないよ」