乾汁の効用~密やかな午後~
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「ふふ、乾ってば妙に張り切ってる。僕らのデータを取りまくる気だね」
屋上の出口からすぐに見えなくなった乾の背中に、視線を残したままで不二が言った。
「…まぁ…奇特な体験やさかい、夢中にもなるやろ」
一歩、出口に向け忍足も歩き出す。
「…関西弁」
忍足な不二の横を通り過ぎる不二な忍足に、最後にダメ押しのように釘を打って来た。
「成績優秀な不二くんは、本日ただいまよりお笑い芸人に目覚め関西弁を習得出来たんよ。以上、めでたしめでたしやねん」
ゆるく首を振り返らせると不二な忍足は、まったくひるむことなく右手の親指を忍足な不二に向けて立て、にんまりとほくそ笑んだ。
「ほな、行くで七星ちゃん」
二人のやり取りを笑って聞いていていいものかどうか、悩みつつも我慢していた七星は、不意に忍足な不二に手を取られ焦る。
(…不二先輩って呼ぶべきか、忍足さんて呼ぶべきか…どっちなんだろ…? )
変なことで迷って、七星は思わず二人を交互に見比べてしまう。
「…珍しやん。俺が七星ちゃんと手ぇつないでも何も言わへんなんて」
忍足な不二が、いつもなら何かしらしてくる不二な忍足をやや不審そうに見つめた。