乾汁の効用~密やかな午後~
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(……俺が俺と戦う…?)
不二の言葉にやや唖然とした忍足だが、徐々に面白いという気持ちが高まって来た。
通常ならどんなに望んでもありえない、精神面ではなく自分本体と試合出来るという行為…。
舞台役者が望む、叶えられない願い…自分が演ずる舞台を生で客席から観てみたい…と同じだ。
「…おモロいやないの、不二。その提案乗ったるわ」
さっきまでの、挙動不審者にも近いおどおどとした見かけはもはや微塵もなく、氷帝の天才という異名のままの忍足侑士が戻って来た。
「まあ、中身はお互い入れ替わっているとはいえ、身体は僕らのままなわけだから、持久力やパワーが違って来るとは思うけどね?」
「面白いな。データはあてに出来ないと思っていいだろう。二人共に『不二+忍足+α』だから、過去の理念は通用しないだろうし、意外な技が繰り出される可能性も大いにある」
不二の意見に、いささか興奮気味に乾も言った。
「では早速だが、すぐ始めてくれないか?いつ何かの弾みで元に戻ってしまうかもしれない不安定な状態だから、急いでくれ」
急かすように二人に言うと、乾はコートの準備のため先に屋上から1階へと降りて行った。