月光小夜曲*
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「あの…実は…」
フェンスの向こうで、あたしと手塚先輩を遠巻きに見つめる、テニス部員の人達の視線を感じながら、あたしは事の顛末(てんまつ)を、ちゃんと伝えようと思い、もう一度、今度はしっかりと手塚先輩を見上げた。
「やぁ、七星ちゃん、しばらくやんな~元気やった~?」
明るく、気の抜けるような声が後ろからかかった。
「忍足さん!?」
あたしは、びっくりして振り向いた。
「忍足?なぜお前が?」
手塚先輩は、素早くあたしの前に行き、後ろ手にあたしをかばうと、
「大石!」
副部長さんを呼んだ。
「どうした?手塚」
フェンスの向こうから、あわてて大石先輩がやって来て、手塚先輩に囁いた。
「高寺を急いで裏門から帰してやってくれ。後は解散だ」
「わかった。七星ちゃん行こう」
「え…あ…はい」
あたしは、説明も出来ず、どうすればいいのかわからないまま、大石先輩に引っ張られるように裏門へ向かった。
「あちゃ~随分やな~。せーっかく七星ちゃんに会いに来たってのに、話もでけへんの~?」
頭を掻きながら、忍足は手塚に言った。
「話は俺が聞こう」
「ん~、お見通し…ってわけやな。実は氷帝から迎えに来たんや。七星ちゃん渡してくれへん?」
忍足は、一見不真面目そうにも見える態度で手塚を見たが、その目は笑っていなかった。