乾汁の効用~密やかな午後~
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(…人の話は聞けや、不二。それより、何やて?)
「標準語モードって何やの?まさか俺に『関西弁バージョン』と『標準語バージョン』が搭載されとるとでも思うてるんやないやろな?」
「違うの?だって君、東京に何年いるの?」
「…三年」
「それだけいれば語学取得には充分じゃない?しかも氷帝は名門校だし、話せないわけないよね?」
「それやったら、不二にも関西弁話して貰うで?俺は関西弁以外話さへんから」
「………」
勝った、と忍足は内心勝鬨(かちどき)の声を上げ、ニヤリと口の端を持ち上げた。
「君、成績順位ってどれくらい?」
「は?」
(何のこっちゃ?)
「…学年ベスト3はキープしとるけど…」
「偶然だね、僕もだよ。ちなみにトップは手塚だけど」
「…こっちは跡部や」
(何が狙いや?)
探る瞳が自分の姿の不二を見る。
「つまり、成績優秀な君は、今日突然標準語を話せるようになったわけ。OK?」
「…………」
(はあぁ~っ?何ちゅう勝手な解釈やの?不二ってこないに自己中やったん?)
端から見ると、ニコニコと不二を見下ろす忍足と、目が全開で敵意むき出しに忍足を見上げる不二。明らかに異様な構図である。
「どうしたんだ?不二に忍足」
ようやく屋上に到着した乾が二人を見比べながら、声をかけた。
「別に、ちょっと面白いことがあっただけだよ」
「…忍足…?」
二人に向かって歩いていた乾が足を止めた。何か変だ。
(忍足はこんな話し方をする奴だったか?)
「不二」
乾が忍足から不二に視線を向けた。
「え…」
戸惑うように不二が乾に目を向ける。関西弁の決着はついていない。