乾汁の効用~密やかな午後~
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「せっかく来たんだから、もう少しここにいてほしいな」
帰りかけたあたしに、不二先輩がその場からにこやかに声をかける。
「え…でも」
「そや、せっかく俺が青学レギュラーの前からかすめて連れて来たんやで?もうちょいその可愛ぇ顔を拝ませてぇな」
ふぅ…と息を吐きながら忍足さんも屋上の手すりにもたれたまま笑って来る。
「…あ~、それにしても喉乾いてしもた。階段一気に2段跳びで駆け上がったせいやな…」
ふぅ…と忍足さんが空を見上げてもう一度息を吐いた。
「飲み物ならありますよ、どうぞ」
あたしはさっき、乾先輩から貰った赤いリボンのついたペットボトルを差し出した。
「…………」
ボトルの中身の色に明らかに怯(ひる)む忍足さんがいる。
「…それ、何やの…?」
目を細め、眉間に皺を寄せボトルに近づく。
「乾汁だよ、さっき僕が飲んだやつ」
相変わらずの不二スマイルで先輩が答える。
「乾汁…?これが噂の…?」
あたしからペットボトルを受け取ると、忍足さんは振ったり持ち上げたり透かしたり…とボトルの中身を吟味するみたいにあらゆる角度から眺めている。
「氷帝でも知られてるの?」
不二先輩が興味を持ったように忍足さんに声をかけた。