乾汁の効用~密やかな午後~
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「ま…待って下さい…忍足さ…」
全部を言い切れないまま、七星は忍足に引っ張られ走る。
走ると言うより、三段跳びをしているような…地面から足が離れる時間が長い感じ。
自分で走るのと違って、人に引っ張られて走るのは奇妙な感覚が残る。とりわけ足の速い人に引かれると空に浮かぶような感じまでする。
だから、いつもと違って楽に50m以上の距離を息も乱さずゴールに到着した。
ゴール…?
「…あれ…?七星ちゃんと…」
「…なしておるねん…」
「僕はここの生徒だもの、どこにいてもおかしくないでしょ?」
「そらまぁ…」
「他校生の君がいる方が妙だと思わない?」
忍足さんに引かれて辿り着いた先は校舎の屋上。
でも、なぜかそこには不二先輩がいて、にこやかにいつもの微笑みであたしと忍足さんを出迎えてくれた。
「…仕方あらへんな…青学レギュラー相手するよりは、不二一人の方がましやろ」
忍足さんは、息を吸って大きく吐き出すと、屋上の手すりに肘を乗せ、背中をもたれさせるようにした。
(…ところで、何であたし連れて来られたんだろう…)
わけもわからずいきなり引っ張られて来たけど、不二先輩もいることだしここは失礼させて貰おうと思った。