乾汁の効用~密やかな午後~
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「…フフ…何だか気がそがれちゃったな。手塚、悪いけど席外させて貰うよ」
明るく告げると、軽く手を振り、仁王の横をすり抜けるようにして、部室ドアから不二が出て行った。
(ホ~ッ)
(ふひ~っ)
(マジびびった)
安堵の空気が一斉に部室中に流れる。
「………」
壁に縫われていた大石も、一気に緊張が抜け、滑り台から滑るように壁を背にしたまま、真下に腰を落とした。
「ええ風じゃの?」
午後の黄昏始めた校舎の屋上の手すりに、所在なげにぼんやりともたれ、遠くを見つめている人影に仁王雅治が声をかける。
「何だ、また君かい。何か僕に用?」
仁王に体の向きを変えると不二が答えた。
「乾汁は美味いんか?」
「そこそこね。…さっきの話を聞いたの?」
不二が小さく笑いながら仁王に視線を向ける。
「…うちにも目のよくわからん参謀が約一名居るからのう…」
「…何の話かな?」
目が開いているのかいないのか、区別のつかないいつもの微笑みだが、探るような視線を仁王に向け不二が聞いた。
「わかるんよ。お前さん遊んどっただけじゃろ?」
手すりに背中を寄りかからせると、不二を見て仁王が面白そうに笑った。