乾汁の効用~密やかな午後~
空欄の場合は夢小説設定になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「…越前、僕に黙ってここから出られると思う?」
両手で壁に大石を縫い付けたまま、首だけゆっくりと振り向けると、七星の腕を取り部室を出ようとしていた越前に、妙に静かな微笑みを向ける。
(越前ヤバいよ)
(…わ、不二先輩100%開眼直前じゃねーの?)
部員が硬直し続ける中、不二が壁から手を離すと、ゆるやかな動きで越前と七星に近付いて来る。もちろん口許に微笑みをたたえ、涼やかな瞳をはっきりと額にかかる前髪から覗かせて──
「…取り込み中なんかのう…?」
「…仁王…?」
いつの間にか、部室ドアを半開きにしたまま、立海大の仁王雅治がそこに立ち、怪訝そうな顔つきで硬直している青学テニス部員達を眺めていた。
「いや…何か用か?わざわざこんな所まで…」
呪縛を解かれた手塚がぎこちなくも動きを取り戻すと、やっと仁王に話しかけた。
「…ああ、これじゃよ」
小脇に抱えたバッグから封筒を取り出すと手塚に渡し
「うちの部長からじゃ。練習試合についてのあれこれらしい」
言いながら、チラリといつもと様子が違う不二に視線を流した。