乾汁の効用~密やかな午後~
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「何をしている?ミーティングの時間だ」
資料を小脇に抱え、部室に入って来た部長の手塚は、少しざわついた室内に視線を走らせると静かに一喝した。
「あ、それじゃあたしはこれで失礼致します」
部外者の七星はあわてて席を立ち上がり、深々と部員達に礼をすると手塚が入って来たドアに急いで駆け寄った。
「待って、七星ちゃん。僕から離れないで、愛してるんだ」
突然不二が何の前ぶれもなく椅子から立ち上がると、いつもの笑顔でにこやかに七星に告げる。
「…は…?え…ええっ!?」
突然のこと、しかも男子テニス部レギュラー陣全員の前でいきなり言われて七星は硬直する。
「…不二…」
「…何だと…」
「…こんなとこで言っちゃいけねーよ。先輩…」
「……」
無言になる者、つぶやく者、ただ睨む者、悲喜こもごもの表情をレギュラー陣は一斉に発言者不二に向けた。
「だから一緒に帰ろ、七星ちゃん」
彼らの戸惑いなどどこ吹く風…と飄々した顔で不二は七星の手を取る。
「不二…!」
「何?手塚」
部室から七星を連れ出そうとする不二を焦って呼び止めはしたものの、いざ不二が振り返ると何を言えばいいのかわからず、呼びかけた姿勢のままその場に手塚は立ち止まってしまった。