乾汁の効用~密やかな午後~
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「ついに完成した…まれに見る最高傑作だ…」
逆行眼鏡を午後の気だるい光に反射させると、マッドサイエンティストにありがちな怪しい微笑みを浮かべ、青学テニス部3年、乾貞治はビーカーとフラスコを手に立ち上がった。
ここは、理科室。飲み物を調合するにはやや不釣り合いな場所である。
しかし乾が手にしたビーカーには、確かに新作乾汁とも呼べる開発No.WX005…がなみなみと縁まで満たされていた。
乾はここ数日、何かに取り憑かれたかのようにWX005の試作に取り組んでいたが朝のHRと昼休み、そして放課後の今…を費やし、ようやく完成の域にたどり着いたようだ。
「……さて、誰がいいか」
新作が完成したなら、誰かに試したくなるのが人情というもの。だが、乾が勧める限りテニス部員は決して飲んだりしない。
自分が勧めても、警戒なく飲んでくれる人物…乾には心当たりが二人いた。
しかも美味いと言ってくれる。
乾の顔が自然とほころぶが、それは二人の内の一人に対してだ。
その二人…に、勧めるためビーカーからペットボトルに新作乾汁を移し換えると、乾は理科室を後にした。