水色の恋…白雪姫*
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跡部さんが私に向かって笑顔や手を差し伸べてくれるなんて、七星さんがいない限り生涯あるはずがない。
それくらい奇跡とも思える事が、今日一日で立て続けに起こった。
「あ、ありがとうございます」
そう言うだけで、もう精一杯だ。
「渚、七星さんと回って来るんだろ? 行ってきなよ」
お兄ちゃんてば、ニコニコ顔で七星さんと私に言うけど、どう見てもこの場所から……跡部さん達から七星さんを離そうとしているのが丸わかり。
ほんとはお兄ちゃんが七星さんと一緒に回りたいんだろうけど、ここでそれは禁句だしね。
「それじゃ渚さん、お願い出来ますか?」
「もちろん! 今日のお礼におごらせてね?」
「いいんですか? ありがとうございます」
七星さんの笑顔に当然とうなずく。
だって、七星さんが来てくれていなかったら会場は満席にならなかった。
例え小人の数が足りなくても、主役級じゃなければ進行に支障はないし、何の問題もなかった。
でも急な配役交代と、当日登校のクラスメイトの少なさに皆パニクっていたのも事実。
駆けつけてくれた他校のテニス部の人達。
協力してくれたお兄ちゃんや生徒会の人達。
これ、私がお兄ちゃんの妹で、七星さんが友達でいてくれたからなんだ。
「渚さん?」
知らぬ間に考え事にふけっていた私に、七星さんが心配そうに声をかけてきた。
「七星さん、私ね、演劇関係の道を目指したくなってきた」
いつの間にか胸の奥にぽっと灯るほのかに熱いものを感じる。
「たかが学祭のクラス演劇だけど、私、もっと演じたいって思った。皆でひとつの話を創り上げるって凄いって思った。役者でも脚本でも舞台美術でも、とにかく演劇にかかわりたい」
今度は自分自身の力で立ちたい。
そう思った。