帝王の庭*
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『お嬢さん、おっは~』
土曜日で少し遅めに起きた朝、チャイムの音でドアを開けたら…忍足さんがいた。
『…何で?』
驚くあたしに、
『家知ってるかって?そら、後つけましたもん』
『なっ……』
目を見開くあたしに
『何でかって?そら好きやからな。あんたのこと、好きで好きでたまらんから、こうなるねん。あ、ストーカーとはちゃうから安心してや。来るのは、用のある時だけやで』
じい…とあたしを見つめる忍足さんに
『でも、そのことは以前の賭けで…』
あたしは必死に抵抗を試みた。
『そ!賭けはあんたの勝ちやった。見事なまでのな。けど、あきらめるのと、好きになるのは、別問題やろ?』
『…え』
『ほな、行こか?今日はあんたをデートの誘いに来たんよ』
『─ええっ』
忍足さん!人の話はちゃんと聞こうよ。
『だからね、忍足さ…』
『あーっっ!!あれは何や!』
いきなり忍足さんが、あらぬ方向に指を差し、驚愕の声をあげたから、あたしも何事かと
『何、どうしたんですか?』
とつられて玄関から外に出た。
『こっちや、こっち!』
忍足さんはあたしの手をグイグイ引っ張り、
『あれや!』
…と言ったとたん、あたしは横抱きにされ、自転車の荷台に放り出された。
『そら、しっかり俺につかまらへんと振り落とされるでぇ』
『えっ…きゃっ!』
物凄い素早いスタートを切ると、自転車はあっと言う間に加速した。
あたしは必死に忍足さんの背中に体をぴったりくっつけ…腰に手を回してしがみついた。
『うっ…わ、ヤバいくらいくるわぁ~』
─って忍足さんは言うけど、こうしないと落ちちゃうでしょーっ!
で…先ほどの通り、着いた所は氷帝学園─
「何だ? 忍足よ、まだあの娘追いかけてたのか?」
テニス部の部長、跡部景吾が呆れたように忍足に言った。
「何とでも言うてや。俺はあの子が欲しいんやって」
「ほう。また随分とご執心だな。だが、それはお前だけではないようだぜ?」
跡部は顎で来賓席をしゃくった。
「七星さん!…来てくれてたんだ」
あたしは、嬉しそうな声を背後から聞いた。
「日吉さん!」
忘れてた!氷帝には、日吉さんもいたんだ…!
ああ…どうしよう…。
きっとまた、日吉さんは『賭け』を持ち出す…。
「はい、はい、どいてぇな。そら樺地、ここ座ってな。跡部の命令やで」