帝王の庭*
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一番奥に『音楽室』と見えた。
…距離はどれくらいだろう。かなりありそうだ。
反対側の廊下も見る。こちら側の一番奥には『美術室』が見えた。
生徒会室は校舎の真ん中に位置する。
…あたしは、跡部さんが『音楽室』か『美術室』のどちらかに隠したと、あたりをつけている。
跡部さんのサドっぽさと、ナルシスト傾向は、芸術方面に向かうはずだ。
ただ10分…と言う限定された時間枠の中では、両方確認することは出来ない。
あたしは、どちらかひとつの部屋にしか行けない。
確固たる証し…ヒントを吟味しなくては…。
焦った。その時すでに、9分が過ぎていた。
あたしは、なりふり構わず生徒会室に戻り、
『ポーンf4』
を視界に入れると、
『ナイトa5』
へ駒を叩きつけた。
「はひーっ」
その場で息を吐ききった。
「前途多難か?」
くく…と笑って跡部さんは、カードに印鑑を押した。
「何の、まだまだ。確証が取れれば、一直線だもの。あたしが不利…ってことは何もないわ」
あたしは左手を腰に、右手の人差し指を立てて、跡部さんに言った。
「強気だな。まぁ、そうでないと駆け引きなど出来やしない…」
そう言うと、また楽しそうにあたしを見た。
「…さて最後のヒントは『KV』だ」
「KV…?」
今度はアルファベットなの…?
『46』『618』『KV』…。
…つながりがあるの?
あたしは最後のヒントで、手掛りが得られるものと思い込んでいたので、我ながら戸惑いと憔悴(しょうすい)は隠すことが出来なかった。
「投了するか?」
そんなあたしを見て、跡部さんは言った。かなりニヤニヤしている。よっぽど自信があるらしい。ムカつく。
「しません!まだ時間はありますから、ギリギリまでねばって、跡部さんをねじ伏せます」
あたしは拳(こぶし)を握ると、真っ直ぐ跡部さんを睨んだ。
「じゃあ…特別大ヒントを1時間後に出してやろう。ありがたく思え」
またニヤ…と跡部さんは笑ってあたしを上目線で見つめ返して来た。さらにムカつく。
生徒会室から出ると、自然にあたしは階段に座り込んだ。
KV…何だろう。美術関係なら…ADだのBC…だよね。名前なのかなぁ…。
考えながら、1時間をひたすらに往復した。
『ルークxナイトf6』
跡部さんは勝負に出てきた。
『ポーンgxルークf6』
効果はあたしの方が大きいはず。
「なかなかやるじゃねぇか。よし最後のヒントだ。『KV』は『618』の前につく」
(KV618…)