何も言えなくて…人魚姫の恋
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「手塚部長…」
「手塚先輩…」
「…越前…」
三人が同時に言って、かなり気まずい雰囲気が流れた。
「…越前、お前は帰ったのではなかったのか? 」
しかし、いつもと変わらぬ無表情な中、わずかに眉を寄せた手塚がゆっくりと越前に問いかけた。
「忘れ物っス。ないと困るんスよね…」
軽く吐息をつき、チラリと部長手塚に視線を向けるとバッグのファスナーを開け、手に持ったままのペンケースをわざとらしく手塚にチラつかせてから中に放り込んだ。
「…そう…か」
バッグを肩にかつぎ直す越前を見ながら、手塚は安堵の表情に変わる。ほんのかすかに…。
「それじゃ、お先」
くるりと越前は手塚に背を向けた。
七星の手を掴んで。
「え…ちょっ…」
いきなり手を引かれ、よろけそうになる七星。
「越前!? 」
手塚も少なからず慌て、七星に手を伸ばそうとした。