何も言えなくて…人魚姫の恋
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「…あれ?七星ちゃんは?」
グラウンド5周を終えた菊丸が、先頭をきって勢いよく部室の扉を開けたかと思うとキョロキョロと室内を見渡す。
「…さっき部室から出て行ったが、どこにいるかは知らないな」
七星と帰る約束をしたことは、さすがに手塚といえども口には出来ない。
「ふ~ん。まさか海堂さ、忘れられちゃったんじゃな~い?」
すぐ後ろから部室に入って来た海堂に、菊丸がからかうようにニヤニヤとしながら話しかけた。
「…関係ないっす」
ジロリと菊丸を睨みつけると、海堂は自分のロッカーへと大股で向かう。
(…海堂先輩には何て言おう…)
図書室の一角で千羽鶴の続きを折りながら、七星は考える。
「熱心ね、まだやってたの?」
いつの間に来たのか七星の前の椅子に藤田が座った。
「藤田先輩」
あわてて折り紙を見ていた手元から、顔を上げると藤田を見た。