何も言えなくて…人魚姫の恋
空欄の場合は夢小説設定になります
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
七星と一緒に帰る…それは願ってもいないことで、試合ですらしたことのない緊張と、抑えられない悦びが手塚の全身を駆け抜けた。
「俺は構わないが、急にどうしてなんだ?」
悦びを気づかれないよう、努めて冷静を装い手塚は七星の方を見た。七星からテニス部員を誘ったことはない…手塚の頭には、まずその疑問が浮かんだ。
「手塚先輩は、あたしの作ったクッキーを召し上がりましたから、その…ちょっと心配で…」
口ごもりつつも、手塚には料理の才のなさを伝えてあるせいか、意外に楽に本意を告げることが出来た。
「何だ。そんなことか」
手塚は少し残念な気もしたが、いつもは鋭い瞳をかすかに和らげ、その眼差しを七星に注ぐ。
「待っていてくれるか?あいつらが戻らないうちに帰るわけにはいかないし、部誌も書かねばならない」
「あ、はい。わかりました。それでは…図書室でお待ちしています」
部員達が戻れば、部外者の自分がいつまでもここにいるわけにはいかない、と考え図書室を提案した。