何も言えなくて…人魚姫の恋
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途中からでも着替えて部活に参戦しようとしていた手塚だが、完全に気がそがれてしまった。
(こんなことでいちいち動揺してしまうとは…)
情けない、と思った。七星の笑顔を今すぐ自分だけのものにしたい…。しかし、それは無理だ。誰もがそれを望んでいるのだから。
自分らしくない…おそらくは行き場のない顔をしているだろうな…と思いつつ床に視線を落とした。
「手塚、もう時間だぞ。片づけさせてもいいか?」
ほとんど練習にならなかったな、とぼやく調子で大石が手塚に声をかけた。
「…え、あ、あぁそうだな…いやグラウンド5周で上がらせてくれ」
もうそんな時間かと、手塚も部室の窓越しにコートへと顔を向けた。
「え~…」
「5周…」
「まぁ、いいっしょ」
「青学ー」
「ファイ、オーッ」
クッキー騒動の件があるので部員達も強くは言わず、グラウンドへと走り出た。多分、いつもの手塚であればあの騒ぎだ、10周は言うはずだろうに、手塚にも後ろめたさがあったのだろう。
(どうしよう…)
再び七星は考える。海堂はまだクッキーを食べていないが、手塚は食べている。
(お腹壊すとしたら手塚先輩が先よね…)